ぶらり下町で癒しの旅

東京はたくさんの顔を持った街です。政治や経済の中心都市としての顔や渋谷や原宿のような若者たちの街としての顔といった、大都会的なイメージも持つ一方で高尾山や御岳山などの自然も豊富。またそのなかで、昭和の風情を今に感じさせる下町としての顔も持っています。下町を知れば、東京の新しい魅力に気付けるかもしれません。

下町といっても千差万別

東京の下町の起源は、江戸時代までさかのぼります。徳川家康によって江戸に首都が移された際、家康は丘陵地域の高台に大名や上級武士の屋敷をまず建てました。その後低い湿地帯を埋め立て、商人や職人など庶民のための町を作ったのです。さらにそれぞれの地域を堀や水路で区切り、特徴を持たせました。その名残は現在でも残っており、下町といわれている地域でも商業や工業、伝統工芸などそれぞれ突出した特徴があるんだそうです。もちろん時代や人々の生活スタイルの変化とともに少しずつ変わってきてはいますが、所々で名残を見ることができるそうですよ。

そんな色々な特徴を持った下町。観光するならば、その特徴を知っておくとより魅力を深く知ることができるでしょう。

話題沸騰!?注目の下町「谷根千」

谷根千とは、文京区と台東区に位置している谷中・根津・千駄木エリアの呼び方。こう呼ばれるようになったきっかけは、1984年から発行されている「谷中・根津・千駄木」という地域雑誌を読者が「やねせん」と略したこと。この雑誌は残念ながら2009年に終刊となりましたが、現在では「谷根千ねっと」というウェブサイトにて谷根千の魅力を発信し続けています。そんな谷根千、地域としては山の手エリアに近い場所にあります。それでも下町の風情が色濃く残り、観光スポットにはぴったりです。

まず谷中の見どころは、谷中霊園。江戸幕府15代将軍の徳川慶喜を始め日本画で有名な横山大観など多くの著名人が眠っています。さらに中央の園路は「さくら通り」とも呼ばれており、春には迫力ある桜のトンネルを見ることが。

また谷中霊園からは少し離れてますが、下町情緒たっぷりの谷中銀座も魅力。昔ながらの商店街で、小物店や飲食店、総菜店など60店ほどの店が存在しています。谷根千の名物、ともなっているきれいな夕焼けが見られる「夕焼けだんだん」をおりてすぐのところにあることもあり、毎日のように多くの観光客が訪れるのだとか。ほとんどの人が食べ歩きをしながら商店街の雰囲気を楽しんでいます。谷根千に行くならば、絶対にはずせないスポットのひとつです。

そして根津には東京十社のひとつである根津神社があり、境内はつつじの名所として知られています。毎年4月には「つつじまつり」も開催され、多くの人が足を運ぶのだそう。根津神社の社殿は権現造、本殿に幣殿、拝殿を一体に作る構造においての傑作とも称されており、7棟が国の重要文化財に指定されています。また根津神社のつつじ苑の前にある細長い石は「文豪想いの石」と呼ばれ、かつてそこで森鴎外や夏目漱石が腰掛け、ストーリーを練っていた場所だといわれています。さらに近くにある水飲み台は森鴎外が明治37年に奉納した、日戦争勝利砲弾を飾るための台座跡なのだそう。歴史的価値だけでなく、文豪ゆかりの地としても見所たっぷりです。

最後に千駄木。千駄木は文豪の町として有名で、川端康成を始め北原白秋、森鴎外、夏目漱石など早々たる文豪たちがかつて暮らした町。夏目漱石や森鴎外、北原白秋に高村光太郎などが暮らした跡地を始め、江戸川乱歩が経営していた古書店の跡地など、建物こそ残ってはいないものの多くの文豪たちが確かにそこに生きていたことを感じられるでしょう。

また谷根千一帯は、地域猫が多く猫の町としても人気を集めています。情緒あふれる町角のいたるところで思い思いに過ごす猫の姿は、癒されること間違いなし。周辺にある雑貨店などでは多くの猫グッズが販売されていますので、猫好きにはたまらないでしょう。

谷中、根津、千駄木と3つのエリアからなる谷根千は、1日かけても散策しきれないほど魅力あふれるスポットがたくさんあります。食べ歩きするもよし、谷中霊園や根津神社などの寺社仏閣を見て回るもよし、ぶらぶらと地域猫たちを追いかけてみるもよしと楽しみ方は無限大ですよ。